特許庁が発行する文献の種類について説明します

初心者向け

特許庁が発行する文献は、色んな種類があります。例えば、特許公報公開公報などがあります。特許制度は、発明を公開することを条件に独占排他権を付与する制度であるため、文献は誰もが簡単に閲覧できるようにするためです。

私は、弁理士になり、仕事柄、ほぼ毎日、公開公報や特許公報を読んでいます。この記事では、特許庁が発行する文献の種類について説明します。この記事を読むと、特許庁が発行する文献の種類がわかります。

結論をいうと、特許庁が発行する文献の種類は、「公開公報」と「特許公報」です。

公開公報とは、出願内容を、世の中に公開するための公報

公開公報とは、原則として出願日から1年半を経過した時点で発行され、出願内容を、世の中に公開する目的で発行される公報です。

公開公報は、概ね出願時点の内容(出願後に補正された場合は補正内容も含む)が公開されるため、後で説明する特許公報と【特許請求の範囲】の内容が異なることが多いです。

弁理士
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公開公報は、原則として出願時の情報を公開しただけです。

特許権の内容とは限りません。

公表特許公報も公開公報と同じ目的の公報

公表特許公報は、PCTに基づく出願で、例えば、アメリカまたはヨーロッパ特許庁で受理された発明で、日本を指定(日本での権利化を指定)し、日本語の翻訳文が提出された出願内容について、公開する目的で発行される公報です。

再公表特許も公開公報と同じ目的の公報

再公表特許は、PCTに基づく出願で、例えば、日本の特許庁で受理された発明で、日本語で出願された発明について、国際的に公開された後に、改めて日本で公表される情報の公報です。

なお、2022年1月11日から再公表特許は廃止されます。

特許公報とは、特許内容を、世の中に公開するための公報

特許公報とは、特許庁においての審査を行い、特許査定となり設定登録された特許内容を、世の中に公開する目的で発行される公報です。独占権として認められた発明を周知化するために発行される公報です。第三者は、特許権を侵害しないようにしなければなりません。

弁理士
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特許公報の【特許請求の範囲】に記載されている【請求項〇】の内容全てを、業として(事業に関連した経済活動の一環としてなされるものとして)、実施(生産、使用、譲渡、等)すると、特許侵害をしてしまいます。

PCT出願で日本を指定した場合において、最終的に特許査定となった場合、「特許公報」として公開されます。

特許庁では、特許査定と拒絶査定とを行います。最終的に、拒絶が確定した場合には、特許権を付与しないため、拒絶された発明は、独占権として認められず、公開公報により発明内容が世の中で知られてしまういます。しかし、公開公報が世の中に開示されることにより、第三者に対して、新規性を否定するように働きかけることができます。つまり、公開公報は、第三者に特許取得をけん制することができるので、出願の意義は十分にあります。

弁理士
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出願内容が公開されることによって、第三者の特許取得の道を閉ざすことができます。

なお、特許公報のことを、「特許掲載公報」ともいいます。

新しい公報発行システム

「公開公報」、「登録公報(特許公報)」は、2022年1月12日から、新しい公報発行システムに移行します。

新しい公報発行システムは、公報の発行頻度が、毎月発行から毎日発行に変わります。

また、新しい公報発行システムは、PDFファイルの収録が廃止されます。

なお、あくまで、公報発行システムの話であり、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)でのPDF文献取得は、継続して可能です

弁理士
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公報発行サイトに掲載された公報に関する情報は、同サイトにおける掲載日同日の夕方にJ-PlatPatに反映されるようです。J-PlatPatでも日次で掲載されることになります。

再公表特許が廃止されます。

弁理士
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再公表特許の代わりに、WIPOの国際公開公報を検索対象に含めることができます。その場合、J-PlatPatでは、「特許・実用新案検索」において「文献種別」から「外国文献」の「WIPO(WO)」を別途指定する必要があります。

まとめ

特許庁が発行する文献の種類は、「公開公報」と「特許公報」があります。

2022年から新しい公報発行サイトになり、毎日発行されます。