発明のカテゴリーを変更や追加て、いつできるんだっけ?と思う時ありませんか?
このタイミングではカテゴリー変更はできない、という時期があります。例えば、最後の拒絶理由対応時に、方法のカテゴリーの請求項を追加できません。その理由は、補正の要件違反となるからです。
この記事では、発明のカテゴリーを変更する事例を、わかりやすく解説します。この記事を読むと、発明のカテゴリーを変更、追加のできる時期等がわかります。
結論をいうと、発明のカテゴリーを変更、追加できる時期は、最初の拒絶理由通知の対応時までです。
カテゴリー変更・追加の補正ができる時期

自発補正時期、つまり、拒絶理由通知前又は特許査定前は、請求項のカテゴリー変更補正は可能であり、また、カテゴリー追加の請求項を加える補正は可能です。
また、最初の拒絶理由通知の対応期間も、請求項のカテゴリー変更補正は可能であり、また、カテゴリー追加の請求項を加える補正は可能です。
しかし、最後の拒絶理由通知の対応期間や50条の2の拒絶理由通知の対応期間は、請求項のカテゴリー変更補正は不可であり、カテゴリー追加の請求項を加える補正は不可と思われますです。審査基準には、明確に記載されておりませんが、そもそも請求項を追加する補正はできませんし、制度趣旨(既になされた審査結果を有効に活用できるようにするため、50条の2については分割出願の濫用防止のため)から、考えると難しいと思います。なお、誤記の訂正や明瞭でない記載の釈明であれば、可能と思われます。
また、拒絶査定の審判請求対応期間も、同様の理由により、 請求項のカテゴリー変更補正は不可であり、カテゴリー追加の請求項を加える補正は不可と思われます。
なお、基本的な事項として、第3者との利害の調整を図るため、新規事項の追加は禁止されています(特許法第17条の2第3項)。
知財高裁平成19年9月20日判決 平成18年(行ケ)10494号
知財高裁平成19年9月20日判決 平成18年(行ケ)10494号 では、拒絶査定不服審判請求時に、「物」(プロダクト・バイ・プロセス・クレームの形式で書かれた「物」)のカテゴリーを、「方法」のカテゴリーに補正した事例において、補正が可能か否かが争われました。
結論として、裁判所は、 「物」(プロダクト・バイ・プロセス・クレームの形式で書かれた「物」)のカテゴリーを、「方法」のカテゴリーに補正 は、不可と判断しました。
分割出願による救済
最後の拒絶理由通知の対応期間や50条の2の拒絶理由通知の対応期間 や、 拒絶査定の審判請求対応期間 において、別のカテゴリーを加えたい場合は、分割出願により対応が可能です。
ダブルパテント(特許法第39条)に注意
先願と後願とにおいて、単なるカテゴリー表現上の差異(例えば、「物」の発明であるか、「方法」の発明であるかの差異)である場合、実質同一と判断されてしまい、ダブルパテントの拒絶となってしまいます。審査基準にも明記されています。
したがって、分割出願(後願)を、先願の上位概念にする工夫や、或いは下位概念にする工夫が必要です。
例えば、発明Aを先願とし、発明Bを後願としたときに、後願発明Bと先願発明Aとが同一であっても、発明Bを先願とし、発明Aを後願としたときに後願発明Aと先願発明Bとが同一でない場合(例えば、発明Aが「バネ」であり、発明Bが「弾性体」である場合)は、「同一」でないと判断されます(審査基準の「先願」参照)。
まとめ
- 発明のカテゴリー変更や追加ができる時期は、発明のカテゴリーを変更、追加できる時期は、最初の拒絶理由通知の対応時までです。
- 最後の拒絶理由通知以後は、分割出願でカテゴリー追加可能ですが、ダブルパテントにならないように注意する必要があります。