特許権はいつまで有効なの?特許の開始時期や終了時期を説明します。

初心者向け

特許権って、いつから発生していつ終了するのか、説明すると意外と難しいと思いませんか?

実は、お客さんから、「特許権の権利はいつから発生し、いつまで存続しますか?」と質問されることがあります。単純な質問ですが、厳密に特許の発生の時期や終期、延長について細かいところ聞かれると、即答することが難しいです。

この記事は、特許の有効期間を説明します。この記事を読むと簡単に、特許権の有効期間がほぼ理解できます。

結論は、特許権の開始時期は、特許権の設定登録日になります。特許権の終了時期は、原則として特許出願日から20年になります。

特許権の開始時期

特許権の開始時期は、特許権の設定登録日になります。つまり、特許権は、設定の登録により発生します(特許法68条)。

特許査定(または特許審決)の謄本の送達日から30日以内に、出願人が第1年から第3年までの各年分の特許料を納付すると、特許権の特許庁に備える特許原簿に、特許権の設定が登録されます(特許法66条第2項、27条第1項)。

なお、一定の条件を満たす個人、法人等は、特許料(1~3年分まで)の納付について、減免、猶予の措置が受けられます。

また、特許料を納付しなかった場合は、出願却下処分となり、権利化されません。

特許権の終了時期

特許権の終了時期は、特許出願の日を基準に、終了時期を求めます。

特許出願の日から20年

まず、 特許権の終了時期は、特許出願の日から20年です(特許法67条第1項)。ただし、特許料の納付していることが特許権の存続の条件となります。

また、最後の日が休日であってもその日に終わります。

特許料の納付をやめた場合は終期が早まる

出願人が特許料の納付をやめた場合は、特許権の期間は最後に納付した年の末日になります。

例えば、1~3年分の特許料を納付し、4年分の特許料を納付しなかった場合、設定登録日から3年で特許権の権利期間が終了します。

追納

納付期限を過ぎた場合、期限経過後6カ月(追納期間)以内であれば特許料納付書の提出は可能です。しかし、期限を一日でも過ぎると2倍のが必要になります。

さらに、追納期間を過ぎると納付期限にさかのぼり権利は消滅します。

特許庁から、納付期限前に通知等はありません。権利者において十分に期限管理することが必要になります。

回復

納付期限から6カ月間(追納期間)が過ぎてしまった場合でも、追納期間経過の日から1年以内かつ「正当な理由」がなくなった日から2カ月以内であれば、正当な理由が認められる場合に権利が回復される制度があります。

正当な理由とは、例えば、以下の場合です。

  • 出願人等が法人の場合において、法人の手続担当者が事故、突然の病気により手続きができなくなった場合であって、他にスタッフ等もいなく、所定の期間内に代替者を手配することさえも困難なとき。
  • 期間管理用のシステムの不具合により誤った期限が告知された場合であって、その事実を知った日には、既に当該手続きの所定の期間が徒過していたとき。

医薬品等に係る特許権の存続期間の延長

安全性の確保などを目的とする法律の規定による許可その他の処分であってその目的、手続きなどからみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要するものとして政令で定める処分を受けることが必要であるために、特許発明の実施をすることができない期間があったときは、5年を限度として、延長登録の出願により当該特許権の存続期間を延長することができます(特許法67条第4項)。

期間補償のための特許権の存続期間の延長

TPP11協定(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)では、特許の付与において不合理な遅延が生じた場合、期間補償のための特許権の存続期間の延長制度の導入が義務付けられています。

これに応じ、特許権の設定登録までに一定の期間を要した場合に、権利期間を保証することができる制度が導入されました(特許法第67条第2項、 特許法第67条 第3項)。

特許権者の権利行使の期間を十分確保する一方で、存続期間の延長による出願人間の公平性、第三者への影響などを考慮し、特許権の設定登録が特許出願の日から起算して5年を経過した日又は出願審査の請求があった日から起算して3年を経過した日いずれか遅い日(以下、「基準日」という。)以後になされたときは、延長登録の出願により存続期間を延長できます(特許法67条第2項)。

 そして、延長することができる期間は、基準日から特許権の設定登録の日までの期間に相当する期間から、第67条第3項各号に掲げる期間を合算した期間に相当する期間を控除した期間(以下、「延長可能期間」という。)を超えない範囲内の期間とします。

特許料の納付管理で注意したいこと

特許事務所に特許権の維持管理依頼すれば、期限徒過の問題ないと思います。しかし、権利者が特許料を自分で管理する場合があります。その場合には、期限日には十分に注意しなければなりません。

ここで、令和2年4月1日から、特許庁において、特許(登録)料支払い期限通知サービスを行っているようです。特許に関して具体的には、第4年分以降の特許料の支払い期限通知サービスになります。

案件登録は50件までとなっているようです。中小企業や、個人事業主、個人の権利者には、大変便利でサービスだと思います。是非、利用をおすすめします。

特許権が抹消されているか否かを簡単に確認する方法

まず、 特許情報プラットフォームで、対象となる特許公報を検索し、公報の上の欄の経過情報を閲覧します。

本権利は抹消されていない」という表示であれば権利が存続しています。登録情報を閲覧すると存続期間満了日も表示されて大変便利です。

年金不納による抹消」という表示であれば権利は抹消されています。

まとめ

  • 特許権の開始時期は、特許権の設定登録日であり、終了時期は原則として特許出願日から20年
  • 特許料の納付をやめた場合は、特許権の有効期間の終了時期が早まる
  • 特許料の納付期限を徒過した場合、所定条件下で、追納や回復が可能
  • 特許の存続期間が延長されることがある
  • 特許情報プラットフォームで、特許公報の経過情報を見ることで特許権の抹消有無がわかる