特許や特許発明のカテゴリー(種類)を、わかりやすく説明します。

法律解説

特許や発明の種類(カテゴリー)について、初心者の方は、理解が難しいのではないでしょうか。

特許や発明には、どのような種類があるのか?そして、どの種類で特許権を獲得すべきか?侵害時に強い種類の権利はどれか?実務者にとって、種類の決め方は、非常に大事なことです。

また、初心者にとって種類(カテゴリー)を理解するは、難しいと思います。

私は、弁理士として、将来、強い特許の権利がとれるよう、出願する際や、中間処理を行う際に、特許の種類を検討しています。

この記事では、特許の種類(カテゴリー)について、わかりやすく解説します。つまり、この記事を読むと、特許の種類(カテゴリー)や、種類毎(カテゴリー毎)の違いがわかります。

結論をいうと、特許や発明の種類は、「物」と「方法」に分けられます。「物」には「プログラム」が含まれます。「方法」は、更に、「物を生産する方法」と、「物の生産を伴わない方法」で分けられます。カテゴリーが異なると、実施の定義が異なることになります。その結果、侵害認定の判定が異なることになります。なお、実務上、「種類」を「カテゴリー」と言う場合が多いため、以下の説明では、「カテゴリー」という文言を主に用いて説明します。

特許や発明のカテゴリー(種類)は、物と方法に分けられる(特許法第2条)

まず、特許や発明のカテゴリー(種類)は、方法に分けられます(特許法第2条)。ここで、「物」には「プログラム」が含まれます。つまり、無体物であるプログラムも含みます。また、更に、プログラムのみならず、プログラムに準ずるものも「物」の発明該当します。

プログラムに準ずるもの」 とは、特殊なデータ構造の採用により可能となった処理方法によりコンピュータによる処理効率が飛躍的に高まるような場合における、その特殊なデータ構造を有するデータ、のように、コンピュータに対する直接の指定ではないが、どのデータ自身が有する構造によりコンピュータによる処理内容が規定されるようなものが想定されます。

「物」の発明の具体例をあげると、装置(サーバ、携帯端末、車両)、組成物、化学物質、微生物、プログラムなどです。

「方法」の発明は、時間的な要素を含みます。つまり、例えば、特許発明として、ステップAの次に、ステップBを行うことを特定した場合は、A→Bの順に行うことが特許発明として特定されます。したがって、B→Aの順に行った場合は、その特許について侵害していないことになります。

更に、「方法」は、「物を生産する方法」と、「物の生産を伴わない方法」で分けられます。

「物を生産する方法」の発明の具体例をあげると、食品の製造方法、化学物質の合成方法などです。

「物の生産を伴わない方法」の発明の具体例をあげると、情報処理方法、伝送方法などです。

具体的には、特許請求の範囲の請求項単位で、カテゴリー(種類)が決まります。また、特許請求の範囲の各請求項において、請求項に記載の文言で、種類が決まります。

例えば、「~と、~と、~とを備えるサーバ装置。」とあれば、物の発明になります。

また、「~A処理部と、~B処理部と、~C処理部として、コンピュータを機能させるプログラム。」とあれば、物の発明になります。

また、「~Aステップと、~Bステップと、~Cステップとを実行する処理方法。」とあれば、方法の発明になります。

また、「~を製造する方法であって、~し、~する、方法。」とあれば、物を製造する方法になります。

また、1つの出願に複数のカテゴリーがあっても構いません。例えば、装置の請求項と、プログラムの請求項と、方法の請求項があっても問題ありません。

各カテゴリー(種類)の実施行為とは?

物の発明の実施行為とは

物の発明の実施行為とは、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為(特許法第2条第3項第1号)になります。

「譲渡」について、物がプログラムの例を詳しく説明すると、ネットワークを通じてプログラムを提供する場合、例えば、ユーザが購入してソフトをダウンロードする行為を含みます。

物を生産を伴わない方法の実施行為とは

物の生産を伴わない方法の実施行為とは、その方法の使用をする行為(特許法第2条第3項第2号)になります。

物の生産を伴う方法

物の生産を伴う方法の実施行為とは、その方法の使用をする行為、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為(特許法第2条第3項第3号)になります。

まとめ

  • 特許や発明の種類は、「物」と「方法」に分けられます。
  • 「物」には「プログラム」が含まれます。
  • 「方法」は、更に、「物を生産する方法」と、「物の生産を伴わない方法」で分けられます。
  • カテゴリーが異なると、実施の定義が異なります。