カテゴリ違いのマルチマルチの拒絶回避方法を徹底解説|特許

法律解説

 令和4年4月1日以降、日本における特許出願及び実用新案出願において、マルチマルチクレームが拒絶対象(第36条第6項第4号(委任省令要件)違反)となります。

 マルチマルチクレームとは、他の二以上の請求項の記載を択一的に引用する請求項(マルチクレーム)を引用する、他の二以上の請求項の記載を択一的に引用する請求項を意味します。

 前回の記事では、マルチマルチとは何か?その拒絶の詳細や、その拒絶回避方法を例示しました。

 実は、カテゴリ違いのマルチマルチも、拒絶対象(第36条第6項第4号(委任省令要件)違反)となります。

 今回は、カテゴリ違いのマルチマルチの拒絶を回避する方法について詳しく説明します。

マルチマルチクレームの定義

「マルチマルチクレーム」とは、「他の二以上の請求項の記載を択一的に引用する請求項(マルチクレーム)を引用する、他の二以上の請求項の記載を択一的に引用する請求項」を意味します。

 詳しくは、マルチマルチクレームの拒絶回避方法の記事をご参照ください。

カテゴリ違いのマルチマルチの例

以下の例は、私が作ったマルチマルチクレームが存在する特許請求の範囲の例です。あくまで例ですのでご容赦ください。

ここで、「マルチクレーム」は、他の二以上の請求項の記載を択一的に引用する請求項であるので、上記の例で説明すると、請求項3がマルチクレームに該当します。

そして、「マルチマルチクレーム」とは、マルチクレームを引用する、他の二以上の請求項の記載を択一的に引用する請求項であるので、請求項4がマルチマルチクレームに該当します

ここで、請求項1~3のカテゴリは、情報システムであり、請求項4のカテゴリは情報取得方法です。このようにカテゴリが違っていても、マルチマルチクレームに該当するの注意が必要です。

特許庁のサイトからダウンロードした「簡易マルチマルチチェッカー」でチェックすると、例えば、上記のクレーム案では、

「マルチマルチクレームとして検出された請求項:請求項4」

と表示されました。

なお、特許庁サイトによると、簡易マルチマルチチェッカーは、誤検出の可能性もあるとのことですので、ご注意ください

カテゴリ違いのマルチマルチクレームを回避する書き方

カテゴリ違いのマルチマルチクレームを回避する書き方は、上記のように、マルチマルチマルチにすることです。なお、簡易マルチマルチチェッカーで、「マルチマルチクレームは検出されませんでした。」と表示されました。

また、カテゴリ違いのマルチマルチクレームを回避する書き方の他の例では、マルチマルチクレームを1つの請求項を引用するクレームにすることも可能です。この場合は、権利範囲が狭くならないように注意が必要です。

まとめ

令和4年4月1日以降、日本における特許出願及び実用新案出願において、マルチマルチクレームが拒絶対象(第36条第6項第4号(委任省令要件)違反)となります。

カテゴリ違いのマルチマルチクレームも、拒絶対象(第36条第6項第4号(委任省令要件)違反)となります。